【好評発売中「犬勇」RTキャンペーン】「大人の女子会」公開!

現在RTキャンペーン開催中「犬と勇者は飾らない」より、

お待たせしました……!

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☆第2弾:500RT達成
書き下ろしSS第2弾公開 & PV作成決定!

※キャンペーン詳細はコチラ!

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上記のあまなっとう先生書き下ろしSSを公開です!

 

【注意】
・本SSは「犬と勇者は飾らない1」収録内容どころかけっこう先のネタバレを微妙に含みます。
WEB版をご覧になっているかた以外はご注意ください。
・本SSは一部キャラのイメージを書籍版登場前から損なう可能性が御座います。
WEB版をご覧になっているかた以外はご注意ください。

 

それではどうぞ!

 

 

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大人の女子会」

 作:あまなっとう

「女子会やりたい」
 
 とある日の昼下がり。
 先日までの依頼の完了報告をまとめている途中、ナインがそんなことを言い出したのがきっかけだった。
 
「いきなりどうしたんですか?」
「たまにない? 女の子だけで飲み会とか、無性にしたくなるとき」 
「はあ……」
「反応うっす」
 
 そんなことを言われても。
 吾妻京子は内心でそうごちながら、手元にあるコーヒーカップで静かに喉を潤す。
 
 事務所の腰窓から覗く空は青く、雲ひとつない。
 今週は月曜日からずっと快晴だった。
 内勤でこもっていないで外で身体を動かしたい気分だ。
 女子会というのはともかく、飲みの席を設けるという意見は吾妻も同様であった。
 
「まあ」
 
 カチン、と。
 ゆっくりとソーサーにマグを落として、吾妻は再び眼鏡越しにディスプレイを見つめた。
 
「最近は忙しかったですし、息抜きなら賛成です」
 
 別段断る理由もない。
 むしろここ数週間は働き過ぎだ。
 佐藤草介と識神こづみを加入させて効率は上がったが、その分休みも少なくなった。
 特に鬼神の一件での疲労もある。
 この辺でまとまった休日を取りたいが、精々三日が限界と言ったところだろうか。
 
「じゃあ誰呼ぶ? あー! シャリア呼ぼうよシャリア!」
「彼女は本部にいるのでは?」
「今度こづみちゃんの学校の卒業式あるでしょ? それで近くまで来てるらしいよ」
 
 確かに識神こづみが籍を置く魔法学校の卒業式が近々控えている。彼女の義妹であるティアの為に、休暇を利用して観光がてらに卒業式を見に来たといったところだろうか。
 小梅町と魔法学校はそこまで離れてはいない。
 気軽に来れる位置にはいるのだろう。
 
「あと誰呼ぼうかなぁ」
「あんまり変な人は呼ばないで下さいよ」
「えー? あたしそんなの呼ばないよー? 呼んだことある?」
「この前二人で飲んでたら初対面のプロレスラー連れて来たじゃないですか」
「シュレーディンガーの山崎のこと?」
「いや知りませんけど」
 
 とにかくナインの人選がひたすらに不安だ。
 常識人ならいざ知らずナインの交友関係は基本的に変人が大半を占めている。それはナインが変人であるからという根本的な原因があるのだが、変人を相手にするのは正直一人が限界だ。
 
 よく覚えていないが前回は泥酔したナインがサンバのリズムでお茶漬けを作るシュレーディンガーのなんとかにパワーボムを喰らわせた結果行き付けの店から出禁を食らった過去がある。ナインとはかなり長い付き合いで気を許す仲だが、流石にあの悪夢を二度繰り返すのは御免だ。
 
「大丈夫だって。今回はキョーちゃんの知った人しか連れて来ないから」
「いや、絶対ですよ? 次また出禁になるとかあり得ませんからね?」
「もー! キョーちゃんは心配性だなぁ!」
 
 子供のように口を尖らせる彼女に、吾妻は渋々と言った様子でこれ以上念を押すことをやめた。一応ナインも最低限大人の常識は持ち合わせている。過度な注意は野暮というものだろう。
 
「シャリア来るかなー。もう何人か欲しいなぁー。あー、明日が楽しみだなぁー」
「……まあそもそも私達、もう女子って言える年齢じゃありませんけどね」
「おい」
 
    ◇   ◇   ◇
 
「という訳で、明日から三日ほど休みなりました」
 
 翌日の夕方。
 会議中に吾妻が先日の旨を告げると、まずエリーゼが嬉しそうに口を開いた。
 
「いいですねぇ。お休みはお金の次に大好きです」
「最近は根を詰め過ぎましたからね。土日の二日と、月曜は特別休暇です」
「おほ〜」
 
 喜ぶエリーゼだが、彼女の歳なら倍の休日があっても不思議ではない。本来なら彼女には一週間ほどまとめて休みを与えたいところではあるが、スケジュールから考えると正直厳しい。真剣にそう思えるほどに、エリーゼの力は猫組に無くてはならないものだった。
 
「というわけだから、今日は早めに上がっていいわよ。あたしとキョーちゃんはこの後用事あるから」
「なんだ。飲みにでも行くのか?」
 
 草介がそう尋ねると、ナインは不適に笑ってこう言った。
 
「女子会って奴よ」
「じょしかい?」
「そうよ。女の子が集まるアレのことよ。残念だけど草介くんは連れて行けないわね」
 
 ふふん、とどこか上機嫌に鼻歌を鳴らしながら、ナインは早速掛けてあった薄手のコートを羽織った。いつも着ている動きやすいパーカーではなく、普通の外行きの服という事だ。
 
「ヴィクトール。エリーゼの夕飯は任せたわよ。あとせっかくだから草介とこづみちゃんにご飯作ってあげなさい。なんか北海道から届いたカニあったでしょカニ。カニ出していいから」
「御意に」
 
 厳かに頭を下げるヴィクトールを尻目に、ナインと吾妻の二人は早速事務所を後にした。
 時間は6時前。
 長時間飲むつもりなのか、それとも早めに切り上げるのか。
 その辺りは彼女達の盛り上がり具合によるだろう。
 
 ───しかし。
 草介はソファーから立ち上がり、窓の外で並んで歩く吾妻とナインを見つめながらこう呟く。
 
「女子会…………………………………………………………ねえ」
「こ、こら草くん! 女性の年齢に関してとやかく言うのは感心しませんよ?」
 
 何も発言してないのに草介の心境に当たりをつけたこづみもどうかと思うが、兎にも角にも仕事が早く終わるのはいいことだった。
 
「二人とも、ナイン様もああ言っておられましたし、今日の夕飯はここで済まして行くのは如何ですかな?」
 
 高位魔術師であり猫組の家事を担当するヴィクトールは料理の腕前も折り紙付きだ。長い年季と彼自身の才覚もあって、店で出される料理となんら遜色ないクオリティに仕上げてくれる。
 
 基本的に猫組の食事は彼が作っているようで、草介とこづみも何度か御相伴に預かった経験があるが、彼の作る料理はどれも逸品だったのは記憶に新しい。
 
「そういうことでしたら、お言葉に甘えて」
「そうだな。カニは食いたい」
「そ、草くん……直球過ぎますから……」
 
 二人は願ったりかなったりと言った具合に承諾して、手早く家族への連絡を済ませた。
 
「それでは、三人はお食事が出来るまで寛いでいて下さい」
「何か、お手伝いすることはありますか?」
「いえいえ、こづみ殿。本日は私にお任せ下さい」
 
 こづみの提案をやんわりと断って、ヴィクトールは台所の方へと向かった。客人をもてなすのが好きなのだろうか、どこか背中から気合が伝わって来る。
 
 よくよく考えると彼もまた普通に猫組の仕事をこなした上で家事をしているのだ。話によれば契約などは抜きにして、ヴィクトールが進んで行っているだけらしい。
 
 となると、食事が出来るまで暇だ。
 それはエリーゼも見越していたのか、草介とこづみに対して、事務所のテレビに指を差してこう言った。
 
「ご飯出来るまで遊びませんか? ゲームしましょう、ゲーム」
「いいですね」
「みんなが出来る奴がいいですよね。ならマリオが何かやる奴やりましょう」
「ええぇえぇええ? 君達に僕の相手が務まるのかぃぃぃ?」
「なんでいきなり奇声出したんですか佐藤さん怖っ」
 
 ナイン達が店に向かう一方で、残る四人も楽しい夜が始まろうとしていた。
 
    ◇   ◇   ◇
 
 事務所から歩くこと約20分。
 二人は駅から少し離れた場所に存在するある旅館に到着していた。
 観光名所である小梅町でも三指に入る名宿。
 それに附設された茅葺屋根が目印の高級料亭「白梅閣(はくばいかく)」は、滋味溢れる旬の料理が楽しめる良店として旅行客や地元の人間に長く親しまれている。
 
 普段は予約が取れない人気店だが、通されたのは別館の個室で、用意された席はナインと吾妻合わせて占めて五席。漆塗の座卓にはその分の食器が置かれていた。
 
 てっきり雑多な飲み屋を選んだかと思ったが、かなり意外な選択だった。ナインが身嗜みを整えたのも頷ける店構えに、吾妻は内心でほっと息を撫で下ろす。
 
 これならば、知人がどうとかに拘らず変態が来る確率は著しく低い。ナインにも分別というものはある。妙な人間をここに呼ぶことは無いだろう。
 
 少なくともシュレーディンガーの山崎系譜の人間が来ることはないだろうし、今夜はサンバのリズムも刻まれないしパワーボムが炸裂する確率も皆無と言ってもいい。
 
「高い料亭って、古民家っぽいの多いよね〜」
 
 コートを脱いだナインはリラックスした様子で席に腰を掛けて、一足先にメニューに目を通し始めた。
 
 そういえば学生の頃、とある親しい先輩に連れられて、ナインと共に一度ここへ足を運んだ事があるような、ないような。そんな昔のことを思い出しながら、吾妻もまたナインの正面に腰を落ち着かせる。
 
 窓から見える外の庭園はアッパーライトに照らされた紅葉が赤く輝いて実に美しい。ここなら日頃の疲れも十分に洗い流してくれそうだ。
 
 吾妻はいつしかシュレーディンガーの山崎のことなど頭から消えていた。
 
「ちなみに、誰を呼んだんですか?」
「びっくりすると思うよー。キョーちゃん久々に会うんじゃないかな」
「そうですか」
 
 あからさまに流して来たことに対して、今では一抹の不安さえ感じない。
 ちらりと時計を見る。
 集合時間は6時半らしいので、少しだけ早く着いた結果となった。
 
「あぁ、そうだ」
「どうしたんですか?」
「まだみんな来ないだろうし、ちょっとお手洗い行ってくるわ」
「……あんまり遅くなってはいけませんよ」
 
 実際のところ他のメンバーが集まるのとナインが戻って来るのは絶妙な時間と言えた。少し畏った考え方かもしれないが、集まった時に呼んだ張本人が不在というのも締まりがない話だが。いや、考え過ぎだろうか。
 
 そしてナインが席を外して一分か、二分か。
 木目模様のドアの奥からとんとん、と軽いノックの音が聞こえた。
 
「失礼しますお客様。お連れの方がいらっしゃいましたので、お通しします」
「はい、お願いします」
 
 ゆっくりとドアが開く。
 現れたのは仲居の少女と、禿頭の中年男性だった。
 
「シューティングスター村上様のご到着です」
「どうも〜!」
「いや誰ですか貴方」
 
 完全に知らない人だった。
 
「いやーほんにお久しぶりですなぁ京子はん」
「いや誰?」
「ワイや。シューティングスター村上や」
「え、ちょ、本当に誰ですか?」
「京子はん最後会ったのいつやろ? なんか十年ぶりくらいに会った気がしますわ」
「知らない人が知人を装って接して来る」
「あら〜覚えてないですか? ほら、ワイや。シューティングスター村上や」
「少なくともシューティングスターが名前に含まれてる村上は知りませんね」
「いやー京子はん相変わらず美人やなぁ」
「なに普通に隣に座ろうとしてるんですかやめて下さい」
「じゃあ店員さん。ワイ生一つ」
「はーいかしこまりました」
「ちょっとなに勝手に注文してるんですかやめ……隣に座らないでって言ってるじゃないですか!!」
 
 ちょっと状況に頭が追いつかない。
 完全に油断していただけに精神的なダメージが大きい。
 恐らくこのハゲは名前からしてシュレーディンガーと同類の男だ。
 
 今日はこんなに良さそうな店で出禁を喰らう羽目になるのだろうか。そもそもそんな懸念を抱えて飲む酒など美味しいはずもない。まさに天国から地獄。完全に希望を裏切られた吾妻が絶望していた渦中、開いていたドアからようやくナインが現れた。
 
「おっほー! 村上じゃーん! もう来てたのー?」
「あ、ナインはん!」
 
 予想通りシューティングスターとナインは既知の仲らしい。
 ナインは上機嫌で村井の背中をバシバシと叩いて、懐から封筒を取り出した。
 
「いやぁ〜ごめんねぇ〜村上〜。急に呼び出しちゃって〜」
「かまへんかまへん! これが仕事やさかい!」
「じゃ、これ少ないけどお代ね」
「あぁ〜いつも有難うございますぅ〜! じゃ、ワイはこの辺で〜」
「はーい。ありがとね〜」
「またのお越しを〜」
 
 あっさりと去っていく村上。
 手を振るナインと仲居の少女。
 二人はやがて肩を組み合わせ、満面の笑みでこう言った。
 
『ドッキリ大成功〜!』
「………………」
「あ、じゃあナナちゃん一回下がって大丈夫だよ」
「は〜い! ご注文の時改めてお呼びくださいね〜」
 
 パタパタと早足で去って行く仲居。
 部屋にはナインと吾妻だけが残された。
 
「どう? おもしろかった?」
「なんなんですかいきなりッッッ!!!!」
「声でかっ」
「なんですか今の人!? 一から十まで意味不明なんですけど!」
「いやキョーちゃんを驚かせようと思って呼んだの。経費で」
「無意味なドッキリを経費で落とすのやめて下さいよ!!」
「め、めちゃくちゃ怒ってるねキョーちゃん」
 
 そう言いつつもカラカラと笑うナインだが、もうこの女の言葉は信じない。次から来るのは恐らくドッペルゲンガー鈴木とかそういう系列の何かだ。
 冗談でも何でもなく、次戸が開いた時現れたのが知らない人間だった場合、即刻この店を後にする。吾妻はそれを固く胸に誓った。
 
「次、同じことしたら私帰りますからね」
「だ、大丈夫大丈夫。ドッキリは今ので最初で最後だから。実際来るのは普通の知人だから安心して───ってあれ?」
「どうも」
「信じられませんね。だいたいナインはいつもいつも……」
「うわーこよみんもう来たんだ。おひさー!」
「お久しぶりですね、ナイン」
「ちょっと、聞いてるんですかナイ……え?」
 
 ナインとは別の声が聞こえる。
 吾妻はたと息を止め、肩越しにドアへと振り返る。
 そこには控えめな装飾のファーコートを着た黒い長髪の美女が立っていた。
 
「京子さんもお久しぶりですね」
「………………し」
 
 硬直する。
 吾妻が思い出すのは学生の頃の記憶だ。
 そういえば、なぜ忘れていたのだろう。
 ここに初めて連れて来てくれたのは他でもない───当時魔法学校の上級生であり先輩だった識神暦だということに。
 
「識神、先輩……」
「お二人とも、お元気そうで何よりです」
「せ、先輩も、お変わりなく……」
 
 口をパクパクと動かしながらも、吾妻は平静を保とうと必死だった。今でこそ対等な関係かもしれないが、学生時代吾妻京子は家柄、人柄、実力ともに識神暦に及ぶべくもなく、まさに憧れの人物だった。ある理由でとても世話になった時期もあり、ずっと頭が上がらない関係でもある。彼女と同じ特級魔術師に登り詰めた今も、その認識だけは変わらない。
 
「立ってるのも何だし座りなよこよみん。ほら隣。あたしの隣に来い来い来いやぁあああああああああああッッッ!!!!」
「ええ。では」
 
 コートを脱いだ暦はアイボリーのタートルネックという佇まいだ。ややあって戦闘の第一線は退いたと聞くが、美しい身体のラインは今もなお健在らしい。
 
 斜向かいに座った暦の顔は識神こづみにそっくりで、まさに生写しといった美しい風貌をしている。ただ一つ違いがあれば、泣いたり笑ったりとそれなりに表情豊かなこづみと違って、平時では眉一つ動かさない氷のような無表情だろうか。
 
「京子さん、今日はお呼びいただき有難うございます。それと、娘が日頃からお世話になっているようで」
「え、いや、そんなことありません。それに、その……。この場を設けたのはナインですので」
「そうなのですか? 珍しいですねナイン。てっきり京子さんだと」
「あたしでもたまには幹事くらいやるっつーのゥァ」
 
 ナインが率先して幹事をやるのは本当に稀な上に連れて来るメンバーはいつも妙な人間ばかりではあるが……。
 
 変人が来ることは勿論憚れることだが、識神暦レベルの人間が来るのも、それはそれで緊張して上手く喋れるかどうか分からなくなって来た。いや、吾妻もまた魔術界の最高戦力に数えられる人間の一人だ。ここで過去を引き摺って引目を感じるのは筋違い。ただ堂々としていればそれで良い。
 
 ───と。
 
「お邪魔しまーす」
「ごめんなさい、少し遅れたわ」
 
 次に入室して来たのは二人の麗人。
 一方は和服の日本人女性、もう一方は栗色の長髪の西洋人だった。
 
「シャリアに桃ちゃんもよく来たね〜」
「どうも、ナインさん」
「ナインちゃんはこの間以来ね。その節はどうも」
 
 現れたのは桃山田家当主の妻である桃山田桃華。
 そしてバーミリオン家現当主のシャリア・バーミリオン。
 六家の二人に加えて識神暦までいるとなっては、場所も相まって見方によっては何かの会合と間違われてもおかしくないメンバーだ。
 
「京子さんも、あの時はお世話になったわね」
「も、桃華先輩まで……。え? 何故? シャリアはともかく、本家は岡山の筈では?」
「たまたま仕事で近くまで来てたのよ」
「そ、そうですか……」
 
 桃山田桃華は暦同様吾妻が学生時代に世話になった恩人だ。シャリアも歳下ではあるが、やはり高貴な人間に数えられていることには違いない。
 
 ここまで大物が揃い踏みとなると、流石の吾妻も少し気が引けて来るのも無理のないことだった。ナイン本人はそういうのとは無縁の人間なので、むしろ彼女が何かしでかさないか心配ですらある。
 
「じゃあ全員揃ったし、ちょっと平均年齢下がったところで飲み物頼もうか」
 
 ナインが卓の中央で品書きを広げる。
 ここまで来たらもう覚悟を決めるしかない。
 昔話に花を咲かせる良い機会でもあるし、鬼ヶ島も記憶に新しい。
 話の話題は尽きないだろう。
 少し気負うが、これはこれで楽しそうな一席になりそうだ。
 
    ◇   ◇   ◇
 
 一方で草介達はゲームに熱中していた。
 
「はわわ〜」
 
 3人が遊んでいたのはレーシングゲーム。
 エリーゼとこづみにボコボコにされた草介は無言で画面を眺め続けていた。
 
「はわわ〜佐藤さん思ったより弱いですね〜」
「もう一回やろう」
「あれ〜? さっき相手が務まるとかどうとか言ってませんでしたかぁ〜? はわわ〜! はわわわわわ〜!」
「あーあ終わったな。お前は俺の青甲羅で死ぬ」
「そ、草くん……大人気ないですから……」
 
 食事が出来たのは、この三十分後の話だった。
 
    ◇   ◇   ◇
 
 真っ先に話題に上がったのはやはり学生の頃の思い出だった。
 
 ナインの素行やそれを矯正しようとする吾妻。
 往時生徒会に所属していた暦に、書記だった桃華。
 一頻り話題を煮詰めたあと、次に浮かんだのは鬼ヶ島での一件だった。
 
「そうそう。それで凄かったのよこづみちゃん。終わったあとも懸命に怪我人の治療してて。まだあんなにお若いのにね、とても立派だわ」
「いえ、まだまだです」
「またまたそんな。暦も素直じゃないわね」
 
 桃華の称賛に対して、暦は涼やかに謙遜しながらグラスを煽る。
 
「桃山田さん、妹のティアはどうでしたか? ちゃんとお役に立てましたか?」
「ティアちゃんも大鬼を倒すのに一役買ったみたいよ。最近の子って、なんだか学生離れしてるわねぇ」
 
 それを聞いたシャリアは満足そうに頷く。
 実際のところ、鬼ヶ島の一件は数人の学生達の働きも大きかったという情報は流れている。そもそもあの規模の戦いで学生が十分に活躍し、その上無事に生還したという時点で金星と言えた。
 
「京子さん」
「え? あ、はい!」
「桃子はああ言っていますが、実際のところどうですか? ウチの娘は。ご迷惑かけていませんか?」
 
 京子は暦からの突然の質問に少々戸惑いながらも答えた。
 
「と、とんでもないです先輩。こづみさんは学生とは思えない程に優秀です。召喚術は当時の先輩に負けていませんし、治癒術の練度はプロ以上です」
「そうですか。京子さんにそこまで褒めて頂けるのは、親としても嬉しいです」
 
 無表情で、しかしどこか嬉しそうな声色で、暦は杯を口元に傾けた。早くも無くなりつつあるグラスの中身に吾妻が丁寧に酒を注ぎ足すと、暦は少し微笑んでやんわりと礼を述べる。色白の暦の頬は俄かに赤を帯び始め、特有の色気を醸し出していた。
 
「そういえばこよみん。こづみちゃんがこの前めっちゃ頑張ってる時の動画あるんだけど見る?」
「ほう。ええ、それは是非」
「観るよね〜観たいよね〜」
 
 興味深そうに構える暦と、そそくさとスマホを取り出すナイン。
 そんなこと、任務中にあっただろうか。
 疑問に思った吾妻がナインの耳元でこっそりと言葉を忍ばせる。
 
「ナイン。先輩にこづみさんの変な動画見せないで下さいよ?」
「えー普通だよ普通。普通にめっちゃ頑張ってる時の動画だよー?」
 
 その言い方が心配なのだ。
 いつの間にかシャリアも桃華も話を聞いていたようで、その場の全員はナインのスマホに視線を送っていた。
 
 動画に映し出されたのは事務所の居間。
 ソファーに腰を据える佐藤草介と、その近くでソワソワと立っている識神こづみの姿だった。
 
『えーと……じゃあ……。やりますね』
『はいおねがいしまーす』
 
 何が始まるのだろうか。
 とにかく任務中、もとい仕事中の風景ではなさそうだ。
 今のところなんの動画かさっぱり分からない。
 
『き、きぃーっ!』
 
 突然こづみが奇声上がったので、吾妻は思わず呆気に取られてしまった。シャリアはニコニコと表情を崩さず、桃華は口を動かさないまま微妙に笑いを漏らし、暦は依然として無表情で画面を凝視している。
 
『こほん。ど、どうですか……?』
『全然似てないけど面白かったからいいよ』
『……そ、草くん。いくら罰ゲームだからって、女の子にこういうことやらせたら駄目ですよ?』
 
 そこで動画は終わった。
 今更ではあるが、この動画はどの視点から撮られているのだろうか。結局二人はカメラを一瞥することもなかった。
 
「ナイン。なんですかこれ?」
 
 吾妻が問うと、ナインはあっけらかんと答えた。
 
「こづみちゃんがチンパンジーの物真似やる時の動画だけど?」
「神経千切れたんですか?」
「ちなみにこれジェンガの罰ゲームみたいね。たまたま居合わせたあたしが隠し撮りしたんだ」
「保護者本人にそんなの見せないで下さいよ!!」
「ぐえー」
 
 三人から見えない位置で、吾妻はナインの脇腹をグニグニと掴んだ。娘のこんな姿を見せて一体どう反応しろと言うのだろうか。
 
「すみません先輩。あくまで休憩中の出来事ですので……」
「いえ。少し不安でしたが、こづみが楽しそうで安心しました」
 
 そういう見方もあるのだろうか。
 兎にも角にも暦本人は別段気にした様子もなく、どちらかというと好意的な捉え方をしているようだ。
 
「それはそうと、その類の動画なら私も持っていますよ。皆さん見ますか?」
「え!?」
 
 暦の意外な提案に、吾妻だけは思わず困惑の声を漏らした。
 
「え、その、先輩。その、いいんですか?」
「何がですか?」
「いや、普通にプライベートですけど」
「そんな大層なものではありませんよ。成長途中の女の子。そのちょっとした記録です」
 
 しかもよりにもよってこづみの動画らしい。
 
 今度の動画は識神家の屋敷、その居間が映し出されていた。
 私服姿のラフな格好のこづみが、リビングに寝そべってスマホを操作している場面だ。
 カメラを気にする様子もない。
 まさかこれも隠し撮りなのだろうか。
 
『フーフフン・フン・フン・フン・フフーン♪』
「おぉ……これは……」
 
 ナインが少し興奮した様子で声を漏らす。
 ご機嫌で鼻歌を歌うこづみは、やはりというかなんというか、動画を撮られていること自体に気付いていない様子だ。
 
『ンーフフン・フン・フン・フン・フフーン♪』
「……………………」
 
 それにしてもかなりノリノリだ。
 リズムに合わせて微妙に身体を揺らしている。
 ここまで上機嫌なこづみは事務所でもあまり見たことがない。何か良いことでもあったのだろうか。
 
『ンーフフーフーン・フーフンーフーフン♪』
『フーフフンフンフンフンフフーン♪』
 
 そこで暦が唐突に口を開いた。
 
「ちなみにこれよく聞くとキテレツ大百科なんですよ」
「あ、本当だ! キテレツ大百科だ!!」
「多分『ぐにぐにと潰せ』のくだり歌ってますね」
「だからなんだって話だけどさ!」
 
 本当にどうでもいい情報だった。
 
『フーフフーフン・フンフフーンフン♪ フーフフ……ってきゃあああああああぁああああッ!? お、お母さんっ!?』
『どうも』
『い、いつからそこにいたんですか!?』
『10分前くらい前からです』
『息殺して背後に立ち続けるのやめて下さいよもう!』
『やれやれこれが思春期ですか』
 
 そこで動画は唐突に終わりを迎えた。
 相当面白かったのか、桃華は笑いを堪え切れない様子でプルプルと震えている。酒が入るとこの人はよく笑うようになったっけ、と。吾妻もまた少し酔いが回り始めた頭でそんなことを思い出していた。
 
「く、ふ、ふ、ふふふ……。な、懐かしいわね、この歌。確かこれに出て来る丸い人、前に声が変わったんでしょう?」
「桃華先輩。青い方と勘違いしてませんか?」
 
    ◇   ◇   ◇
 
 今日はそれほど寒くはない。
 そういう理由で、草介達四人の食事はカニのボイルとなった。副菜にはカニの焼き物、揚げ物、サラダと種類にも富んでいる。
 
 ただ中央に置かれた大量のカニというインパクトもあって、皆が皆黙々と殻を剥き続ける作業に終始していた。
 
「何故カニを食べるとき無言になるのか知っていますか? 一説によるとカニを食べるのに使うのは左脳。食べるのは右脳。両方の脳を使うことによって思考のリソースが割かれ、結果無言になると言われています。ちなみに今私たちが食べているタラバガニはカニの王様と言われ秋と春二回旬が存在します。味が強い春に対して秋のタラバガニは肉厚で最も身が詰まっており大変食べ応えがあります」
「カニ食べる時にめっちゃ喋るんだなエリーゼ」
「それはそうと、せっかくですし、この後三人でホラー映画とか観ませんか?」
「あー……俺はいいけどこづみはどうする?」
「え? あー……私は……」
 
 少し言葉を濁すこづみだったが、エリーゼが誘ってくれている手前断りを入れるのも申し訳ない。
 その場では特に嫌がる様子もなく二つ返事で了承することにした。
 実は子供の頃に見て以来、ホラー映画はとにかく苦手だった。
 だがあれから十年以上経過している。
 既にお化けなどというチープな架空の存在よりも恐ろしい敵に触れて来た。
 どれだけ精神力が成長したのか試す良い機会とも言える。
 
 こづみの絶叫が近所に響き渡ったのはほんの1時間後の話だった。
 
    ◇   ◇   ◇
 
 その場の流れで、次は桃華が子供の動画を見せることになった。
 
 と言っても妙な内容ではなくただのホームビデオで、『桃子と桃太郎が一緒に遊ぶ動画』というものだった。
 どうやらそれなりに前の動画のようで、撮られた本人達は今よりもずっと幼い。
 乗り気でピースを繰り返す二人の姿は愛らしく、容易に温かい家庭を連想させるものだった。
 
「となると、次は私ね……」
 
 神妙な顔でスマホを取り出すシャリア。
 だがしかし、どうせ妹関連のものだろう。
 彼女の妹好きは組織内部に広く知れ渡っている。
 問題は内容だ。
 変態的なものを見せてくるのなら吾妻が止める必要がある。
 
「シャリア。分かってはいると思いますが、先輩達に変なもの見せないように」
「大丈夫よ吾妻さん! 今から見せるのはななななんと! 家で暮らしてた頃のティアちゃんの寝顔の動画でーす!」
「シャリアにしては比較的普通ですね」
「豪華二百本立てー!」
「物量で攻めるのやめてくれません?」
 
 恐ろし過ぎる。
 一体どれだけの容量が妹で占められているのだろうか。
 
『ね、姉さん……』
 
 動画始まった第一声はそれだった。
 場所は薄暗い寝室。
 寝巻き姿のティアは汗を大量にかいており、苦しそうに顔を歪ませている。
 
『姉さん……やめて……』
「出だしから不穏過ぎる」
 
 ティアの寝言に、流石のナインも露骨に顔をしかめた。
 
『姉さんやめ……やめて……』
「うなされてんじゃん。どんな夢見てんのこれ」
『やめて……姉さん……それ以上私のクローゼットを漁らな』
 
 そこで動画は終わった。
 というよりシャリアがホームボタンを押して強制的に切り替えたのだ。
 
「これ間違えたわ、ごめんなさい」
「うっかりジョーカー切るの怖いからやめてくれる?」
「本名はこっち! こっちなのよ!」
「まだ続ける気なのかこの女」
 
 戦慄した顔のナインを他所に、シャリアが今度映し出したのは、しかし先ほどとあまり代わり映えのない、ティアの寝顔の動画だった。
 
『あ、あぁ……』
 
 おまけに今度も呻き声から始まっている。
 唯一違いがあるといえば抱き枕を抱えていることだろうか。
 
『ぁああぁあああ、あぁあ、姉さん……?』
『姉さん……ぁあぁあああ……姉さん……』
『……姉さぁん……』
 
 シャリア以外の四人はどうコメントすれば分からないといった風に沈黙していた。そんな中、シャリアは満面の笑みで一言。
 
「ふふふ。どんな夢を見てるのかしら。ねえ吾妻さん」
「普通に悪夢とかじゃないですか?」
「ちなみにこの抱き枕の中身私なの」
「倫理観母体に置き忘れたんですか?」
 
    ◇   ◇   ◇
 
 時計の針は既に夜の10時を回ろうとしていたが、こづみがそれに気付く気配はなかった。
 
「そ、草、くん……!!」
 
 エリーゼが選んだのは一昔前のホラー映画。
 と言っても一世を風靡したような名作ではなく、少しチープさが垣間見えるB級ホラーだ。
 
 そして退屈さ故だろうか。
 子供のエリーゼは早々に寝落ちし、こづみに付き合って起きていた草介も先ほどから船を漕ぎ始めている。
 
 そして現在。
 ただ一人、こづみだけは鑑賞を続けていた。
 単純に映画が怖過ぎて微動だに出来ないという理由で。
 
「そ、草くん……! お、起きてます……!?」
「………………」
「お、起きてますよね……!?」
 
 服の袖を引っ張るが反応はない。
 腕を組んだまま完全に目を閉じている。
 先ほどまでは二人だから辛うじて耐えられたが、映画もクライマックスだ。敵の幽霊が先ほどから縦横無尽に暴れ回って登場人物を次々と殺し回る様に、こづみは正気を失いかけていた。
 
「ちょ、ちょっと草くん……! へ、返事して下さいよ……! ひ、一人じゃ無理ですよこれ……!」
『……ねえ、何か音が聞こえない?』
「あ、あぁああああ……無理無理無理! 無理です! 無理です無理です草くん起きて起きてってば草くん! 出て来る前に起きて下さいよ草くん!!」
『おガァザァアアアアアアアアン』
「きゃぁあああああああああああああああッ!! 起きてぇえええエエエエエエ!! 草くん起きてぇえええええええええ!!!」
『ォ"ガァアァザアアアアアアアアン』
「なんで一人で先に寝るんですかもぉおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
「………………デッキの電源切ればいいやん……」
 
    ◇   ◇   ◇
 
 結果的に言うと、飲み会は何事もなくお開きとなった。
 むしろ最近の飲み会の中ではかなり盛り上がった方だった。
 終わってみれば最初の懸念は嘘のようで、ナインにしても健全に飲み会の終わりを迎えられたと言えよう。
 
 途中常識人枠のシャリアが狂気に走りかけたのは予想外だったが、まあ許容範囲だ。
 
「暦〜。せっかくだからこの後もう一件行きましょうよ〜」
「桃子。少し飲み過ぎでは?」
「ね〜いいでしょう〜?」
 
 暦に抱き付く桃子はどうやらかなり酔いが回っているらしい。途中から笑うことが多くはなっていたが、普段の凛々しさもこれでは形無しと言えた。
 
「うふふ。今日はありがとうございました。また呼んでくださいねナインさん」
 
 ほんのりと赤くなった顔でシャリアがナインに礼を述べる。
 
「おっけー。それまでに妹の動画ちゃんと消しおきなよー」
「無理です」
「うーん即答」
 
 あまり他人の趣味にとやかく言うものではないのは分かっているが、ナインもナインなりに後輩の心配をしていた。彼女を犯罪者にしたくないという観点からの助言だったが、一回くらい逮捕された方がシャリアも目が覚めるかもしれない。多分、彼女はそういうレベルの世界にいる。
 
「京子さん」
 
 熱くなった顔を秋空で冷ましていると、はたと名を呼ばれた。振り向くと、肩に桃華を担いだ暦がゆっくりとこちらに歩み寄っている。
 
「魔術はともかく、こづみは精神的にはまだまだ未熟です。どうか今後とも宜しくお願いしますね」
「は、はい! 娘さんは私が立派な魔術師に育ててみせます!」
 
 そうして五人は料亭を後にする。
 予め呼んでいたタクシーが門を出るまでの間、最初の仲居の少女と料理長らしき人間が、最後まで玄関のあたりで深々と頭を下げ続けた。
 
「皆さん、またのお越しをー」
 
    ◇   ◇   ◇
 
 目が覚めたとき、エリーゼとこづみは浅い寝息を立てていた。
 
「……うーん」
 
 テレビ画面を見ると、観賞していた映画の再生メニューが表示されている。
 どうやらソファーで寝落ちしたらしい。
 時間は既に11時を回ろうとしていた。
 毛布を掛けてくれたのはヴィクトールだろうか。
 今日は彼に世話になりっぱなしだ。
 
 明日は休みだ。
 このまま泊まって行くのもありかもしれない。
 どの道、これで一度や二度の話ではない。
 草介が身体をソファーに寝かせると、不意に携帯電話が振動で着信を知らせた。
 
 画面にはとある友人の名が綴られている。
 こんな時間に、一体どうしたというのだろう。
 
「もしもし?」
『もしもし佐藤くんこんばんはー!』
 
 快活な女の声が眠気まじりの頭によく響く。
 彼女と連絡を取るのは久々だが、どうやら変わりないらしい。
 
「半居(ナカイ)さん。どうしたんだよこんな時間に」
『実家の旅館の手伝いしてたんやけどねぇ、今日めっちゃおもろいお客さん来たんよー。聞いて聞いてー』 
「えぇ……もう俺寝るんだけど……」
『だって識神さん電話かけとるのに出らんっちゃもーん! いいやんちょっとぐらいー! ずっと同じクラスやったやん!』
「まあちょっとなら……」
『おっけおけ! で、今日ねー。夕方にちっちゃくて白い髪の常連さん来たんやけどねー……』
 
 
〈了〉

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以上!
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