《講評》

衝撃的なタイトルながら、その実はブラック企業勤めで疲れ切ったサラリーマン・史郎と、幼い頃から彼を慕う一途でちょっとエッチなギャル・直美のハートフルなラブコメディである本作。
直美の真っすぐで時に煽情的なアプローチに、彼女のことを大切に思っていながらも、自己評価の低さや歳の差、そして年々幼馴染に似ていく容姿から素直に受け止められない史郎。エロコメ要素にドキドキしながらも、じれったくてほろ苦く、じんわり甘い味わいを楽しめる作品です。

《講評》

迷宮に追放された聖女アリスが、紆余曲折あって現代日本で配信者デビューする異文化交流コメディです。
行き倒れた迷宮内で偶然見つけた鏡は、コロナ不況に苦しむ日本レストランに繋がっていました。ご飯を食べさせてもらった恩返しとして、アリスはレストランの宣伝動画に協力することに。配信を重ねる中で多様なグルメに舌鼓みを打ったり、ホームセンターで売っている市販の斧で魔物が退治できてしまい技術力の高さに驚いたり……感受性豊かなアリスがとても魅力的でした。
また、コロナ禍という現実とリンクした設定が印象に残っています。理不尽や不況にめげず立ち向かっていくアリスたちの姿を、一視聴者になった気持ちで思わず応援したくなります。暗い現実に負けない、明るい未来がきっと待っている――そんな言外のメッセージも伝えてくれるような作品でした。

《講評》

婚約破棄された公爵令嬢が出会ったのは、冷酷と噂される皇弟殿下でした――。
本作は、二度も婚約相手から裏切られたトラウマによって結婚を諦めていたヒロインが、冷酷と恐れられているヒーローから見初められ、少しずつ傷を癒していく溺愛ファンタジー作品です。何より本作の魅力は、ヒロイン自身がしっかりと前を向いて、理不尽にも凛然と立ち向かっていく強さを持つところです。そして、そんな彼女だからこそ守りたいと隣で支えてくれるヒーローと共に前へ進んでいく姿は、読み手にまで勇気をもたらします。
ときに楽しく、ときに切なく、バランス良く整えられた物語構成に舌を巻きつつ、二人を取り巻く物語の行く先をこれからも見守り続けたいと願わずにはいられない作品でした。

《講評》

乙女ゲームのヒロイン・スフィアに転生した主人公。彼女が前世で大好きだった推しキャラ・エヴァルトと、画面越しではない今世でこそ結ばれようと奮闘する恋愛ファンタジーです。乙女ゲームの設定通り不遇な立場におかれつつも、それをものともしないスフィアのポジティブさが突き抜けていて、序盤から一気に惹きこまれる作品でした。
また、そんなスフィアの行動に、エヴァルトをはじめとするキャラクターたちが振り回されながら、徐々にはまっていく様子は、この作品独自の「愛されヒロイン」を表現していました。誰か一人が活躍するのではなく、みんなで手を取り未来を掴む、その仲間の一人として自分も作品の世界に入りたくなる作品です。