《講評》

舞台となるのは、突如現代に出現したダンジョン。ひと癖もふた癖もある登場人物たちが、己が信条に従いながらもそのダンジョンへと挑む、ローファンタジー作品。
まず惹かれたは、一向にぶれることのない味山只人のキャラクター性でした。そして読めば読むほど明らかになっていく、伏線や謎の描写。本来、重く感じられる内容ですらそのウィットに富んだ文章のおかげで、楽しんで読み進めることができる作品でした。さらに他作品への派生もお見事で、ついついすべての作品へも食指が伸びてしまう。そんな中毒性も感じられました。

《講評》

勇者パーティーの一人、暁の魔女レイシー。「自由に生きたい」と願った彼女が、自分の力を活かすため何でも屋となり、たくさんの関わりのなかで少しずつ成長していくファンタジー作品です。
魔女として優れた能力を持ちながらも自信のないレイシーが、何でも屋の仕事を通じて変わっていく様子は読んでいて応援したくなりました。
また、勇者ウェインをはじめとした、彼女を支えるキャラクターたちも大変魅力的で、話が進むほど優しくあたたかな世界観へ引き込まれる、そんな作品です。

《講評》

見初められたのは妹なのに、勘違いで結婚を申し込まれたら――。
突然、大国の王から結婚を申し込まれた弱小国の姫・ミレーユが、求婚の事情を知り、その誤解を解こうと奮闘するラブコメディです。
ミレーユをはじめとして個性あるキャラクターや、独自性のある設定が魅力的だったのはもちろんですが、「勘違い」がいくつも重なって、複雑化していくストーリー展開は読めば読むほど引き込まれるものになっていました。
そして、ミレーユに求婚した王・カインの気持ちも明かされ、二人の間にある「勘違い」とそこから生じた「すれ違い」がどう重なっていくのか、今後の展開が気になる作品です。