【白き煌王姫と異能魔導小隊】重版御礼SS連載☆第1回

2014/1/16 未分類

こんばんは。草Pです。
先日ご報告した通り緊急重版をした「白き煌王姫と異能魔導小隊」ですが、重版出来を知った桐生先生がテンションアップしてくださって、エピソードゼロ的なSSを書いてくださったので、今日から5日間に渡ってババンと連載したいと思います!

既に読んでくださった方はもちろんのこと、まだ読んでないよーという方も作品の雰囲気が伝わる内容になっておりますので、是非ご覧ください!

★☆第1回☆★
「わたし一人でも行きます!」
アリーシアが強い語気でそう告げたのは、彼女の所属する特戦科の司令官であるレイホルンだ。
レイホルンは机の上に軍帽を放り出し、ため息をつく。
「おまえにこの話をしたわたしが馬鹿だったよ。まったくおまえは、どうしてそうすぐムキになる?」
「ムキになんかなってません!」
「……まったく、やる気のないアルフレッドやエルザリオと違い、どうしておまえはこうなのだ。すぐに熱くなる貴様を単独行動になど出せるか。大人しく部屋に戻って頭でも冷やしてろ」
「嫌です! 教官! 行かせてください! わたし一人でも必ず災害獣を倒せます!」
「だから偵察任務だと言っているだろう!」
「っ!」
迫力あるレイホルンの怒声に、アリーシアはびくりとして体を引かせた。それでも、レイホルンから目を外すことはない。
「……で、でも……せっかくの任務なのに……いつも雑用ばかりで……わたしは災害獣と戦うためにここに来たんですよ!?」
「――おまえのその堪え性のなさはもはや天才的だな。アリーシア、貴様は確かに魔導士としては優秀だ。高い資質もある。だがおまえの欠点はその直情的なところだ。兵士としてそれはあまりにも致命的だ」
「だ、だからってわたしは――」
アリーシアは上官相手でも退かない。まっすぐに向けられる彼女の視線に、レイホルンをは思い出した。なぜ彼女をこの特戦科に拾い上げたのかを。
「お願いです! こんなんじゃいつまで経っても戦えない……」
アリーシアは命令違反の連続で本隊を外された。アリーシアが持つ災害獣への憎しみは並々ならない。――規律や命令飼い慣らせるような人材ではない、レイホルンはそう判断していたのだ。
「ふん、定期偵察などという任務をこちらへと寄越す上層部も上層部だまったく。アリーシア、いいか、もう一度言うぞ、これは偵察任務だ」
「わかっています」
「戦闘は避けろ。どんなことがあってもだ」
「じゃ、じゃあ!」
アリーシアはパッと顔をほころばせる。
「なんだその顔は? 一応は上からの任務だ。格好だけでも示しを付ける必要があるだろう。本当に一人で良いのか?」
「大丈夫です!」
「……そうか。ふふ、任意参加とは言ったが早速任務を拒否する二人と、これほどに行きたがる一人とはな……使えないやつばかり集めたものだよ、我ながら」
レイホルンは笑みを隠すように軍帽を被った。
「アリーシア=クロイツ、現時点より貴様に黒灰牙王(アシュドルグ)偵察の任務を与える。いいか、絶対に交戦はするな。これだけは厳守しろ、わかったな?」
「はい!」
返事をしたアリーシアは足早に部屋を出て行った。
一人になったレイホルンははぁとため息をつく。
「よりによって黒灰牙王とは……。わたしにも少しは運が向いてきた、ということかなザクル。――さて、わたしは残ったあの無能二人をしごき倒してやるとするか」
――と、レイホルンも椅子から立ち上がった。

アリーシアが向かうのはここカーシナルから東になる辺境の森。
普通ならば歩いて数日の道のりではあるが、アリーシアの荷物は少ない。途中途中で強化の魔導を使って進めば、移動時間は短縮できるからだ。
「わたし一人でも戦えるんだから――。これは偵察任務って言ったけど……災害獣を見て帰って来るなんてできない!」
アリーシアはぎゅっと拳を握り、これから向かう先を見た。

★☆第2回に続く・・・!☆★